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可愛いモモちゃんを狙うオオカミの視線を、私は誰よりも察知する。
「ねぇ、としこっちはどんな男が好みなのぉ?」
「え?私ですかぁ?」
2組目に仲良くなった男の1人が私に質問する。
「俺たちは製造業なんだけど、女の子にどうもモテなくて」
「サラリーマンって収入も安定してるから、そっちにみんな取られちゃうんだよなぁ」
困った顔して何を私に聞くのかと思いきや、
「私はサラリーマンがいいなぁ。営業マンとか」
おおっ!さすがモモちゃん!
可愛いだけあって、イキナリそこかい!?
「私はサラリーマンの元彼で、嫌な思いしたから、もっと人の役に立つ仕事してる人に憧れるかなぁ」
嘘のない人がいい。
外見の豊さよりも、もっと人の温かみを感じる人がいい。
だからってデブも性格悪い奴も、勘弁だけど。
「製造業ってラインなんだけどね、どうしても出逢いがなくってさぁ。俺たちも一生独身貴族になっちゃうのかなぁって不安になるよなぁ?」
「金も受け入れる心の広さも、年の甲ってやつであるのになぁ」
コイツらも、結局結婚したいんかい…。
結婚の話になると、私は何だかとても気分が悪くなる。
だって、結婚出来ない男の愚痴を聞かされるって事は、元彼の愚痴を聞くのと同じだから。
「じゃあ、私たちそろそろ、すいませ~ん…」
席を移動して、次の場所へと向かう。
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