2人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
信也がどこぞの高校に入ってからしばらくたって、彼が美術部に入ったと聞いた。
正直驚いた。まったく団体になじめなかった奴が自分から組織に入るなんて。
そんな言い草は少し大袈裟だがつい心配してしまう。そして徐々にあたしと合う機会も減っていった。
夏休みに一度、また三人で出かけようと誘った。
断られたあたしは由実と二人で旅行に行ったが、テンションを上げきれなくて由実に怒られた。
あたしが彼に求めていたことはなんだったのか。そう考えるとあたしは無理に自分を説得しなくてはならない。
頭にもやがかかったまま、秋も中ごろになってしまった。
「倦怠期?」
目を瞬かせてキャンパスの前の由実を見た。
あたしは相変わらず由実のアトリエでボーっとしていた。最近のあたしは空っぽだった。
「なんか言った?」
最初のコメントを投稿しよう!