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「信也くんと会ってないんでしょ?自然消滅しちゃうよ。もしかしたら浮気してるかも」
どこまで本気で言っているのか。あたしには理解できない。
「彼女ができるほどの甲斐性が、あいつにあればいいんだがね……」
由実の言っていることは気にならなかったが、このまま他人になってしまうのは気が引ける。友達として。
もう思い出せないような同級生がたくさんいる。かつては友達だった。信也はそんな存在にしたくはない。今の彼がどう望んでいるかは分からない。それでも。
悪く言えば趣味。だが、何もないあたしにとってそれは、今までに感じたことのない意味を人生に付け加えてくれている。
恋人とは違う意味で手放したくはない。例え人間というものが変わっていき、その関係もまた時には逆らえないことを知っていても。
いつか信也はあたしを避けるだろうか。あたしと擦れ違っても会釈すらしないだろうか。そんなことはないと今は信じたい。
「自分の子どもが結婚するときってこんな気分なのかな」
「あら、そっち?」
確かに今の例えは高慢かもしれない。あたしがそんなに偉そうな立場にいるのはおかしい。
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