第4話

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「いや、上手い例えが見つからなくて。巣立ちみたいなさ……」 「信也くんの?それとも美月の?」 「さてね、分からなくなってきた。でも悲しくはないよ」  本心だった。 「だけど淋しい……」  足りない部分を補う由実。正直イラっとして、「うるせえ」と言いたくなった。  だがそう、きっとその通りだ。こうして由実に愚痴を言うことができるだけでもマシなのに、足りない。 「ごめん。帰るわ……」 「あ、うん。気をつけて」  古びたドアを開ける。その音はあたしの空っぽの身体の奥で反響して、痛みすら感じさせた。  連日の秋雨で紅葉はすっかり地に落ちていた。土に汚れた紅葉を踏みしめながら自宅へ向かう。  それから、あたしはずっと一人で物思いに耽っていた。
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