天井の眼

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 千雪とそうかわらない歳の男女が立っていた。 「?……」  ロックをはずし、ドアを細く開けてみた。 「あ、どうも、はじめまして」  と、これでもかというほど大げさ笑顔で男があいさつする。 「ぼくは、隣の502に越してきました池上といいます」 「わたしは、嘉村羽子といいます。同じ部屋に住んでるんです……」  と、女も自己紹介。 「はあ……」  千雪は突然の訪問者の目的をやっと理解して会釈すると、 「茶藤です……」 「よかった。外人じゃなかったんだ。いや、その、一階の郵便受けの名前が片仮名だったものだから……。こいつひとりじゃ不安だって言って」 「そんなこと、言わなくていいじゃない!」  と嘉村が肘鉄。
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