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そんな態度でいるのを、このマンションの住民は、たぶん挙動不審に思っているかもしれない。だが、それを気にしてはいられないのである。
千雪は、ここを安住の土地にするために、毎日をできるだけ地味にすごすことに徹した。
ところが、最近になって、部屋のなかにいるときに、どういうわけか視線を感じるのである。
その日も、夜、がらんとした約十三畳もあるリビングで、カーペットにすわりこんで一人静かにテレビを見ていたときだった。
どこからか見られているような気がした。
千雪は部屋をきょろきょろと見まわした。
締め切った分厚いカーテン、隣の502号は空き室で誰も住んでいないから物音もしない。
――気のせい?
ずっとストーカーの影におびえ、気の休まることがなかった。
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