天井の眼

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 単なるシミから視線を感じる?  そんなバカな。  もちろん、ここは五階だから、上に誰かが住んでいて、床に穴をあけてのぞいている、などということはありえない。  気にするほどのことではない、といえばそうなのだが、入居した当初はそんなシミなどなかったはずだというのが、心に引っ掛かっていた。  見逃していただけではないか、といえば、そうかもしれないし、自信をもって断言できるわけではなかったが……。  千雪は怪訝に感じつつも、どうしようもなく、放置することにした。  しかし――。  ある日、仕事から戻って帰宅すると、シミは二つとも大きくなっていた。ますます「眼」である。  さすがに気味が悪くなり、千雪は仕事が休みの土曜日、管理人に相談することにした。
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