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…その視線が、僕と木崎の繋いだ手に注がれて。その人は、持っていた封筒をポトリと地面に落とした。
その顔が、泣きそうなほど歪んで。
ずきり、と心が痛む。
「……なんで。なんで、そんな顔するの?」
意識してではなく。スルリと、言葉が口からでた。
…なんでそんなこと言ったのか、わからないけど。
「………悪いっ。」
そう言って駆け出したその人を引きとめる為に、伸ばした僕の腕を木崎がつかむ。
「…いくなよ。」
「…だっ、だって。」
…泣きそうな、顔してたあの人を見てられなくて。
木崎の手を振り払って、前を向くけど。
もう、小さくなってしまった背中に気付いて。
ため息をついた……。
あぁ、もう間に合わない。
本音を言うと。もっと、話してみたかったのに……。
…ギロリと、木崎を睨むと少しだけたじろいた木崎にため息をつく。
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