-first chapter -

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…その視線が、僕と木崎の繋いだ手に注がれて。その人は、持っていた封筒をポトリと地面に落とした。 その顔が、泣きそうなほど歪んで。 ずきり、と心が痛む。 「……なんで。なんで、そんな顔するの?」 意識してではなく。スルリと、言葉が口からでた。 …なんでそんなこと言ったのか、わからないけど。 「………悪いっ。」 そう言って駆け出したその人を引きとめる為に、伸ばした僕の腕を木崎がつかむ。 「…いくなよ。」 「…だっ、だって。」 …泣きそうな、顔してたあの人を見てられなくて。 木崎の手を振り払って、前を向くけど。 もう、小さくなってしまった背中に気付いて。 ため息をついた……。 あぁ、もう間に合わない。 本音を言うと。もっと、話してみたかったのに……。 …ギロリと、木崎を睨むと少しだけたじろいた木崎にため息をつく。
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