-first chapter -

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    *****************************************   …その日は、木崎の試合と重なっていた。       「じゃあ、行ってくるね。」 「…木崎君の試合、ママの分も応援してくるのよ?あぁ、それから、ちゃんとお弁当ももった?」 「……もったよ。木崎が迎えに来てるから行くね?行ってきます!」 「行ってらっしゃい。」 …あのチケットは家の机の中。 今日が終わってもあの手紙と一緒にずっと大切に取っておこうと思う。 ……行かないと決めた僕に周りはほっとしたようで。 母も、前ほど過保護に接して来なくなった。 後ろから聞こえてきた声には、依然の切迫したようなピリピリとした雰囲気はなく。……僕は、これでよかったんだと空を見上げる。 ……晴れたな。文化祭日和だな。 向こうは今頃、準備の真っ最中なのだろう。 「ゆうー?おはよう!じゃあ行こうぜ?」 …………出迎えた木崎は、いつもよりごきげんで、僕はテンションの高さに少しだけ苦笑した。
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