-first chapter -

18/19
前へ
/34ページ
次へ
    練習サボってばかりのこいつがよくぞ、メンバーに選ばれたと思う。 ……本当に。 けれど、木崎がサボらざるおえなかった原因は僕だ。 だから、今日は名一杯応援しよう。そう決めていた。 「………ちぇっ、バスは由宇とは別か。」 学校側で手配したバスは、教職員、選手用と保護者、応援に行く生徒用に別れていた。 「…仕方ないよ。僕は選手ではないもの。」 そう言って笑う僕の頭を撫でた木崎がこほんと咳払いをした。 「…由宇。もし、この試合に勝てたらお前に聞いて欲しい事がある。」 「…え?」 「…………きっと勝って聞いてもらう。だから、試合一生懸命応援して聞いて欲しい。」 「わかった。」 そう言った僕に安心して、また後でと手を振ると、木崎はバスに乗り込んで行った。 ……その後ろ姿を見つめながら、時計で時間を確認する。 時計の針は、9時を回っていた。 ………もう、文化祭は始まっている時刻だ。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加