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…ゆっくりと目を閉じて、深く息を吐き一歩踏み出す。
バスへ乗り込むの階段を上ろうと手すりに手をかけた瞬間、反対の手を引かれて僕は目を見開いた。
「…小林、由宇さん?だよな?」
手を引いた少年が僕の名を呼び、僕は目を見開いた。
「…………あなたは?」
振り返った僕と彼の間に、風がふいて。にっこり笑った人形のように整った少年の色素の薄い髪を風がさらう。
「…………俺は葎希。あんたを拐いにきたんだぜ?お姫様。」
「…え?」
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