たまに俺は空気になる時があるが気にするな。

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「ふぅ~、暑かった~」  “そーた”。おっとり系小学生男児でこの店の常連。以上。 「わ~、店の中も暑いや~」  もう聞き飽きた。 「そーた君、良かったらコレアゲる」  そう言ってめいなは『当たり』と書かれたアイスの棒をそーたに差し出した。 「えっ、い~の? わ~い、ありがと~。ちょ~どアイス食べよ~と思ってたんだ~」  嬉しそうに店の隅に置かれているアイスが入ったケースに近付くそーた。その扉を開けると、ヒンヤリとした冷気がそーたの顔を包み込む。 「どれにしよ~かな~」 「そーた。それは“ガリゴリくん”の当たり棒だからな」 「うん、わかってる~。え~~っとぉ~~」 「いやだから、迷う必要無いだろ」 「うんとね、ボクも当たりを引いて、めいなちゃんにお返ししようかな~と思って~」  お前があげずとも、常に確変状態のコイツなら引き放題だからな。 「………………」  突然、覗き込んだまま動かなくなるそーた。  …………。  まさか、コイツ。 「おい。選んでるフリして涼んでるだけだろ?」 「……………………はっ。あはは、あんまり涼しかったから、選んでるの忘れちゃったぁ~」  素で涼んでいただけか。 「取らないのなら扉を閉めるぞ」 「あっ、待って、今取るから~」  慌ててガリゴリ君と記載されたアイスを手に取るそーた。 「わ~、おいしそ~」  包みを開け、冷気を放つ水色の物体に口を近付けたその時、 「待てっ! そのアイスは危険だっ!」  外からゴロゴロとガキが転がってきて、そう声を上げた。
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