たまに俺は空気になる時があるが気にするな。

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「や~、あおば君。危険ってど~ゆ~こと?」 「……いや、何となくそんな気がしただけだ。すまない、気にしないでくれ」 「うん、わかった~」  “あおば”。いつもキャラを作って空想やら妄想ばかりしている小学生ながら早くも中二病の症状が出ているこの店常連のガキ。 「ああそーた、アイスで思い出したが、“トラクエX”のサムザム山の入口に氷の塊があって通れないんだ。どうしたら先に進めるんだ?」 「えっ? ……え~っと、それは確かね~、う~んと~……」  視線を天井に向け、必死に何かを思い出そうとするそーた。  その間、アイスからはポタポタと雫が垂れていく。 「そこはある場所に行ってある事をする定期」 「なに? めいなもトラクエやってるのか? ある場所とはどこだ?」 「それはそれまでの話の内容を覚えていたら自ずとわかるかと思われますが。まさか2周目以降でもないのにボタン連打で会話を飛ばしたりしちゃう人?」 「い、いや、そんなハズは無い。オレはストーリーに関する台詞は一字一区ちゃんと目を通し、町人ひとりひとりは疎か、動物にも話し掛けている。重要そうなキーワードが出たらメモだって取っているくらいだ」 「もしかして、パーティに“ダルダルフ”を入れてないとか? うわだめだこいつ終わってる」 「な、なに? ダルダルフなどただの非力な老いぼれではないか。役に立たなそうだったから酒場に置いてきたぞ」  内容からして、どうやらコイツらが言っているのはゲームの話だろう。この手の話はやらない者にとっては理解不能だな。
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