14人が本棚に入れています
本棚に追加
秋祭りを数日後に控えた夕方―――
「桐山さん。話があるんだけど…いいかな?」
佐都の仕事場の駐車場で、嘉寿男が佐都が戻るのを待っていた。
「なに?私はアンタなんかに話なんてないし、時間もったいないからどいてくれる?」
「昔から冷たいね。健兄ちゃんもどこがよかったんだろ?見る目ないのは認めるよ」
「ケンカ売ってるの?悪いけど目の前から消えてよね。ホント、昔から気持ち悪いったらないわ」
佐都は侮蔑の目を嘉寿男に向けてから、車のキィーのボタンを押し解錠した。
「そうそう、来年の春には結婚する予定なの。呼んであげないけど、祝いはもらってあげるわ。きゃははははっ」
また、嘉寿男は体からすーっと何かが抜けていく感じがした。
「つまらない…女…」
嘉寿男は隠し持っていたレンチで佐都を殴って気絶させると、彼女の車の助手席の座らせ、彼女の車で正男の倉庫へと向かった。
一時間後――――
佐都が蹴飛ばされて気がついた時、全裸でビニールシートに寝かされていた。
「きゃー!ちょっと。何をしたのよ?……うっ…何なの…この臭い…」
「最近秋とは言え暑いくらいだったから…ここを閉めきってたせいで腐敗が加速してるんだね」
見ると、下に汚れたタライを起き、体が変色しところどころ腐敗した正男が逆さまに吊るされている。
時折ポタリポタリと、今なお何かしらの液体のようなものが下のタライに滴り落ちている。
「ひっ…この人…」
「見覚えあるでしょ?一緒に吊るしてやるよ」
「ふ…ふざけないでよ…」
「でも大丈夫。君は解体して肉の塊にしたら、細切れミンチにしてやるから。やり方はイノシシと大して変わらないだろうし。今度のまかないの肉にしてもいいなあ」
シャッ…シャッ…とナイフのようなものを研ぎ、間で刃を見つめながら嘉寿男は答えた。
「あれは…どこだったかなあ」
嘉寿男が背を向けた瞬間
“ドカッ”
佐都は運良く手近にあった鉄パイプを振り回し、嘉寿男に殴りかかった。
「はっ!アンタごときに私が殺られるワケないでしょ?このっ…クズやろ…がっ」
何度も何度も何度も何度も何度も…
最初のコメントを投稿しよう!