胸を溶かす微笑み

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   羞恥心を携え、あらためて仁志くんの顔を見上げる。 「陽香……部屋、寄っていく?」  相変わらず透き通るような、仁志くんのアンバーの瞳。その奥にある熱っぽい感情が、ハッキリと見えた。  この言葉に頷いたら──あたしは、もう戻れない場所に足を踏み入れることになる。  だけど、そうすれば胸と頭に渦巻いていたくだらないこと全部がすっかり片付いてしまうんだろうな……ってことも、何となく判っていて。  でも、その為じゃなくて。  そんなんじゃ、なくて。  好きだって、もっと伝え合いたいだけ、なんだ。  あたしは仁志くんの手を握り返しながら──黙って、頷いた。 .
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