それは君のことだと、何度でも。

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   できるだけ、苦痛なんて与えたくない。  揺らして、とろかせて、じゅくじゅくになるまで解して……開いてもいいのだと、教え込む。  そこに穿つ瞬間を思い描けば、時間をかけることなど何ともなかった。  両腕を解放してやる代わりに、肩をぐっと抱きすくめ、もう一度口唇に口づける。  すると陽香はそれを待っていた、とでも言うように、俺の首筋にすがるように抱きついてきた。  仕方ないな、と思いつつそのまま彼女の身体をベッドの上に乗せる。  その間も、陽香は俺にしがみついていた。  まるで、世界中で頼りにできるのは俺しかいないんだ、とでも言うように。  泣きそうになるくらい、胸がぎゅっと締め付けられる。  ……やっぱり俺は男の子だから、じっと我慢して、耐えるけど。  でも、こんなに可愛い女の子にぜんぶを許してもらえるんだから、仕方ない。  そのまま角度を変え、何度もキスを繰り返す。  ようやく楽になれる体勢にたどり着いたかのように、陽香も俺につたなく応えてくるようになった。  頭を抱きかかえられて、撫でられる。  軽くくすぐってねだれば、舌を差し出してくれる。  普段の彼女なら、絶対こんなことできない。  じゅうぶん気分に酔っているわけではないにしろ、キスに溺れて夢中にならざるを得ないほどの陽香の緊張。 .
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