拓かれていく感覚

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  「陽香……」  仁志くんは真剣な顔をして、あてがってくる。  今からすることの最後の宣告だった。 「ひ、仁志くん……」  不安と、多めの恐怖と、少しの期待が胸を過ぎる。  やがて、定めたかのように仁志くんの表情が切なげなものになった。 「……好きだよ。好きだ、陽香……」  今まで聴いたどの声よりも甘い声で、信じられないようなことをささやかれて、一気に恐怖を剥ぎ取られる。  ああ、どうしよう。  どうにでも、して欲しい。  仁志くんのいいように、好きなように。  仁志くんが両手をついて、一ヶ所にだけ体重をかけてくるのが判った。 「……仁志くん……っ」 「力抜いて」  ゆっくり息を吐いて……と言われて、その通りにする。  ものすごい拡張感と異物感で、頭の中が混乱する。 「痛い?」 「わ、判んない……」 「……そう。よかった」  ゆっくりと。本当に、ゆっくりと。  眉間に皴を寄せる仁志くんの表情で、簡単なことをしているのではないと判る。  あたしが息継ぎをする瞬間、仁志くんが一旦止まる。  また、息を吐き出すとぐぐ……と揺するように押し付けられて、拡げられているのが判る。  けど、あたしの混乱はそれだけじゃなくって。 .
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