それは君のことだと、何度でも。

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   陽香を通して、恋というものを初めからなぞっているような気がするのは、たぶんそのせいで。  ただ、俺には苦い記憶があるから……陽香と同じように、すべてを本当にまっさらな気持ちで、というのは難しいかも知れない。  だけどその分、同じ轍を踏んでしまわないようにはできるんじゃないかと思うんだ。  何の躊躇いも疑いも、その欠片さえ宿していない、綺麗な黒い瞳。  俺がずるさで踏みつけてきたことすべてを見透かすような、そんな瞳。  その瞳を見つめ返しながら、俺が真っすぐに映っていることがときどき怖くて、幸せで。  初めて見つけた宝物にそうするみたいに触れて、口付けて──気が済むまでそうしたあと、粉々にしてしまいたい衝動が、当然のようにやってきて。  泣きたい気持ちになりながらもう一度覗き込むと、俺のそんな欲望さえ跳ね返してしまうようなやわらかな弾力と、どこまでも深い透明がそこにあるんだ。  陽香に見つめられることですべてが許されたような気持ちになるのは、俺の都合のいい思い込みかな。 .
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