それは君のことだと、何度でも。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「ん……」  ミントの香りのする口唇に、軽く口付けて──そっと、それを舌で割っていく。  たどりついた陽香の舌は、俺から逃れることもできずにあっさりと絡め取られてくれる。  舌を伸ばして、恥じらう陽香のそれを吸い上げると、俺の中で何かがカタンと外れる音がした。  身体の中に渦巻く色んなものをとりあえず堪えながら、いつものように陽香を部屋に上げる。  どぎまぎしっぱなしの陽香にあれこれ指示をして、彼女がわけが判らなくなっているうちにバスルームに押し込んだ。  駅を出たとき、雨風は信じられないくらい激しいものになっていて、さっきまで働いてくれていた傘を、俺たちはもう開けなくなってしまった。  無理に開いたところで傘の骨が逆の方向に折れてしまうであろうことは、道行く人たちが既に証明してくれていた。  仕方なく、俺のパーカーを陽香の頭の上にかぶせて走ってきた。  パーカーじゃ役に立たないだろうとは思ったけど、この季節に雨風を防げるような何かを持ち歩いているわけがない。  それでも、どちらの口からも今日はやめとこうなんて言葉は出てこなかった。 .
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