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「……そんなこと、言わないよ。絶対」
思わず振り返ると、陽香はグラスの中身を飲み干して──おずおずと、俺を見上げる。
「あの……あたし、さっき、ものすごいこと言っちゃったでしょ」
「……うん」
「もうひとつ、言いたくて」
ぺた、ぺた……と、ゆっくり陽香の方へと足を進める。
──今日はもう、触れたら、最後だ。
陽香の前に腰を下ろし、ベッドにもたれた。
「……なに?」
陽香は、何か堪えるように下唇をきゅっと噛む。
「仁志くんは、あたしの、なのに。って。さっき言ったけど」
「ん」
「……あたしも、仁志くんのだから、って──」
陽香がそれを言い終わらないうちに、俺は彼女の口唇を塞いだ。
「ん……」
少しずつ加速していくようなキスにくぐもった声を漏らしながら、陽香は俺の着ているシャツを夢中で掴んだ。
恥ずかしさに耐えるようなその仕草に、煽られる。
Tシャツの中に手を入れると、そのままだった。
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