それは君のことだと、何度でも。

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  「……下着、外したの?」 「や、何言って……乾燥機の、中だよ……」  キスをしながら訊くと、陽香は俺を非難するように言った。  ふ、と小さい笑いを漏らしてそれを手のひらで包み込むと、切なげな息が漏れる。  まだ声を上げるまでに至らない彼女をゆっくりと高めていくべく、俺は腕の中でそっと抱いた。  頭がベッドに乗るように、陽香の身体をそこに押し付ける。逃げられないその体勢のまま、上から口付けた。  頭の後ろの方からガンガン殴りつけてくる衝動に、眩暈がしそうだ。 「……ッ」  声にならない声。そこに陽香の羞恥心が明らかに見て取れた。  ──そんなに恥ずかしがって、何から自分を守ろうとしてるの?  恥ずかしいって気持ちにも、色々あると思うんだけど、たぶん陽香が一番感じるのは──人目に晒されたくないとか、知られたくない、って辺りのことなんだろう。  そういうのって慎ましやかで可愛いし、微笑ましいけど。  俺みたいなたちの悪い人間は、その理由をどうしても知りたくなる。  ……何をそんなに隠したいの、知られたくないの、って。 .
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