それは悪戯が過ぎる。

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   世間のおじさん連中が、女は聖女と娼婦の同居がいい、と言うのがちょっと判る気がした。  心はそのまま、身体をもう少し。  勝手な男の言い分に焦がれつつ、枕に抱きつく陽香の腰を抱く。  このひととき以外はいらないと本気で思ってしまう乱暴な感情を、どうしたらいいだろう。  大事に、慎重に育てて行きたいと思えば思う程、全部壊してしまいたくなるのは、男の性なのか。  それとも、俺の。  きみの前で、あえて今まで付き合った女の人とあらゆることを比べてみたっていいよ。  きみだけは他の誰とも違うんだってことを、俺が思い知るばかりになるけど。  その嘘偽りない心を証明をしたいと思っても、ものすごく陳腐でひどい方法しか浮かばない自分が、今さら恥ずかしかった。 .
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