なつのおと

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  「仁志くん……?」  瞳の優しさとは裏腹に、ぐいっと抱き寄せられた。  びっくりして肩を竦めると、仁志くんはあたしの耳に口唇を寄せる。 「終わったことはなかったことにできないから、どうしても気になることを気にするな、とは言えないけど……」  さわ、と仁志くんの口唇があたしの耳朶を軽く撫でた。 「……それなりのものを通り過ぎてきた目の前の俺は、陽香のものだよ。それじゃ駄目?」  ……あたし、いつか仁志くんに殺されてしまいそう。  破裂してしまいそうなほどの、胸のドキドキで。 .
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