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陽香を家まで送り届けたあと、再び部屋に戻ってきた俺は、ずるずると座り込んだ。
身体は確かに、疲れ切っていた。
2つめのバイト初日、ということもあったけど、とにかく暑かったし。
それでも陽香の顔を見たら、そういう疲れが全部吹っ飛んで──下半身がやたらスッキリしている今の状態に至る。
男は疲れたときほどやりたくなる、という話はたぶん本当だ。
陽香に足の間に来るよう言ったときは、本当にそんなつもりじゃなかった。
鼻先に陽香の髪の匂いがかすめて、癒される……なんてうっかりそこに顔を埋めてしまったら、止まらなかった。
昔から、“お前は枯れてる”と斉木に何度も冗談で言われるくらい、淡白な方だったはずなのに。
今になって、年相応とか……。
肩から背中にはずっしりと疲労がのしかかっているけど、腰から下はすかすかに軽い。
そのままもそもそとベッドまで這って行って、シーツを引き寄せる。
陽香の色んな匂いが残っていて、それだけでまだムラムラときそうだった。
「……バカ。これじゃ、ただの変態だ」
自嘲しながら、億劫だけど立ち上がる。
寝るにしても、シャワーくらい浴びないと。
とりあえず陽香に“ただいま”とメールをして、浴室に向かった。
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