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この男の名前は──聞いたような気もするんだけど、思い出したくなかったからほとんど忘れていた。
俺を引き止めたのは、陣という男。
ついでに、その連れの金髪の男は大輔というらしい。
あれだ、翠川愛美という俺の元恋人の──関係者、というやつ。
また公園に戻ってきて、3人で喫煙スペースに並んで座る、という妙な状況に陥っていた。
ただし、俺と陣さんの間には、大輔さんが座っている。
「ああ、翠川が可愛がってたのって、あんたのことなの」
どこか呆れたようでいて、面白がっているように大輔さんがまじまじと俺を見て笑った。
その視線が思いのほか好意的で、少し面食らってしまった。
てっきり喧嘩にでもなるのかと思ったから。2対1で。
大輔さんの向こう側で、陣さんは不満そうに煙草を咥えた。
今ここで吸うぶんくらいは残っているけど、買って帰らないと……。
「で、なんで俺を引き止めたりしたんです。もう、関係ないでしょう」
「そんなの……理由なんてないよ。ただ、お前の顔見たらなんかあのときのこと思い出してイラッとしたというか、なんと言うか……」
「……まあ、判らなくもないですけど。先にメールしていいですか」
「なになに、女?」
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