その眩暈さえ心地いい。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  浴室から出た途端、ピンポーン……とチャイムが鳴った。  玄関を開けると、そこに立っていたのは斉木。  バタンとドアを閉めてしまいたかったが、こいつがこんな時間にやってくるのも珍しくて、仕方なく部屋に上げた。 「相談。いいー?」  俺と同じくらい疲れた様子の斉木は、手にコンビニの袋をふたつ持っている。  片方を俺に差し出すものだから受け取って中を見ると、ビールが入っていた。 「飲みながら? つまむもの何もないよ」 「あ、ビーフジャーキーがこっちに入ってる。一緒に入れたら袋が濡れると思って」  言われた途端、舌がビーフジャーキーの歯ごたえと、独特のしょっぱすぎる感じを思い出す。  ……うん、飲みたくなってきた。  よく冷えた缶ビールをテーブルの上に置いて、ベッドに腰掛けた。  シャワーを浴びている間に来ていた陽香のメールを確認する。 “お風呂入って寝るー”とあったので、“おやすみ”と返しておいた。  付き合い始めてからのメールの方がお互いそっけない感じがするけど、会って話す方がいい、というのは俺と陽香の共通した意識だ。  最近では会って話すと、もれなく今日みたいなやらしいことがついてくる、けど。 .
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