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……考えてみれば、俺だってそうだ。
一番引きずったのはやっぱり最初のさなえさんのことだけど。
恋をしているときに、恋の終わりを意識することなんてできやしない。
その恋に溺れていれば、溺れている程。
さっき陣さんはそれらしいことを何も言わなかったけど、残念ながら俺は愛美さんの口から聞いて、全部知っている。
愛美さんは陣さんを利用してしまった、と馬鹿正直に俺に告白したから。
それがどういう意味か判らない程、頭の中めでたくはない。
愛美さんと陣さんの関係など、知るものか。
それは、すっかり愛美さんへの気持ちが風化してしまった今でも、あまり知りたいことじゃない。
だけど、知ってしまったことを忘れることなんて、なかなかできやしない。
陣さんがしつこく忘れられないでいるのは、忘れられない苦しみとか痛みの中に、甘い棘が残っているからなんだろう。
と、そこまで考えてから。
掘り下げなくていいことにまで気付いてしまって、俺は苦笑した。
大輔さんが俺を見て言った、「翠川が可愛がってた」という言葉はなかなか的を得ているんじゃないだろうか。
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