その眩暈さえ心地いい。

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  「てへ。やっぱり今日ここに来て正解。ひょっとしたらまた陽香ちゃんといるかな、と思ったんだけど。お前、高校生の女の子を外泊させるようなことはしてないだろうな、と思って安心して来たの」 「……それはどうも」  こいつとずっと友達をやっていられるのは、お互いのことが苦もなく判るから、というのもあるんだろうけど。  守ろうと決めているモラルの位置が同じだからなんだろう。 「嫌がらせの相手、判ったの」 「それがさ、違うんだよ」  斉木は思い出したようにビーフジャーキーをカバンから取り出し、バリッと袋を開けてからテーブルの上に広げる。 「とりあえず、寮の中のことが心配で。俺、引っ込み思案のめぐみちゃんをずっと送ったりしてたわけ。で、めぐみちゃんの先輩達にも会うんだよ。挨拶したりして、めぐみちゃんをよろしくって言いまくったんだ」 「うん」 「そしたらめぐみちゃん、なかなか馴染めなかった先輩達と仲良くなってきてさ。ま、そのおかげでそっちと食事行っちゃったりして、俺と会う時間が減ってるんだけど」 「……それはお気の毒に」  思わず笑いが漏れた。すると斉木は苦笑する。 .
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