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「恋愛中はホルモンバランスが整って、お肌が綺麗になるとかっていうのもあるんやけど。好きな人に見つめられたり触られたりしたとき、一番潤うのは気持ちやん?」
「……た、確かに」
恥ずかしくなってまた俯いたあたしを、意味深げにニヤリと笑って見ながら、亜由子さんは続ける。
「見つめられて嬉しいし気持ちいいから、もっと綺麗になろうって思うやん。そしたら女って不思議なもんでな。彼のことしか考えてないようでいて、今まで見てなかった色んなことが見えるようになるねん。そうして内面が豊かになって、目が肥えてくるんや。目が肥えるってことは、ものごとの良し悪しも判るようになるってこと」
あたしは亜由子さんの目を真っすぐに見つめながら、今言われていることの理解を深めようと必死に頑張った。
「まあ、これは場数の問題にもなってくるんやけど。色々見てるうちに自分に似合うもの、相応しいものっていうのもだんだん判ってくるんやな。似合うもん身につけたら……ますます魅力的に見えてくるやろ?」
「そう、ですね……」
言われてみれば、オシャレなんてお手のもの、という感じのモデルや女優さんだって、ごくまれに外してしまうことがある。
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