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「よお、仁志、陽香ちゃん! こっち、こっちー!」
待ち合わせの場所に着くと、斉木と西川さんが既に待っていた。
遅れたかな、と目印にしていた電光掲示板を見上げると、それでも3分前だった。
それにホッとしながら陽香を見ると、少し緊張した面持ちでいる。
たぶん、西川さんが目に入ったんだろう。俺は歩きながら、陽香の耳元にそっと口唇を寄せた。
「……大丈夫。怖いことするような子じゃないよ」
「……! そ、そんな心配してるわけじゃ……!」
陽香の脳裏に、絶対流華さんが浮かんでいたに決まっている。
流華さんとは終業式の日に話をした、とは言ってたけど。
佐久間やその彼女に漏らさずにいられないくらい、陽香が一瞬でも怖くて気まずい思いをしたのは事実で。
そういう記憶って、そう簡単になくならないものだと思うし。
まあ、西川さんにそのときの記憶を重ねてないにしても、可能性のひとつとして少しは思い描いたんだろう。
緊張のあまり難しい顔をしている陽香を見ながら、笑いが漏れる。
そうしてるうちに俺たちは2人の前にたどり着いていた。
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