その階にうつるもの。

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  「お姉さん、あの娘気絶してるだけだから、お願い。奥にはもう、誰もいないから」 「え? あ、あの……っ!」 「お願い、頼むよ。……今、犯人を追いかけていったの、親友なんだ。あの娘はそいつの彼女なんだ」  OLさんの連れが、パトカーに向かってこっちだと手を振ってくれている。  OLさんはその光景を俺をせわしなく何度も見比べ──やがてしっかりと頷いてくれた。  パトカーが停まり、警官が2人降りてきたのを見て、俺は呼び止められる前にその横をすり抜けて走り出す。  いくら斉木の背が高いって言ったって、咄嗟の判断は俺の方が確かじゃないか。  斉木をひとり、危険な目に遭わせられるか。  俺がいなきゃ、何もできないくせに──……! .
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