その階にうつるもの。

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   ……くそ、あの女が大人しくしていてくれたら、こんなことにならなかったのに……。  俺も、斉木も、西川さんも。  電柱にもたれ、続く吐き気を何とか飲み込みながら身体を支えていると、後ろからばたばたと足音が聞こえた。 「君、君! 駄目じゃないか、現場で待っててくれと言っただろう!」  やってきたのは、さっきパトカーから降りてきた警官2人だった。俺は口元を拭いながら、深呼吸をする。 「どうした。気分が悪いのか?」  俺が嘔吐したことを察したのか、1人が心配そうに覗き込んできた。  もう1人は、無線で通報者を見つけた、と話している。さっき電話が壊れて切れたせいだろう。  諦めの境地になって、息をついた。 「……出たんで、もう大丈夫です。それより、友達が……」 「犯人を追っていった、と現場で女の子を看ていた女性から聞いたよ。君も追うなんて無茶をしてはいけない」 「……判ってます、けど、我慢できなくて」 「うん、うん。君の気持ちは判るけれど、更に何かあったら大変だからね。そういうのは僕達に任せてくれないか。それで、お友達と女はこっちに走ってきたのか?」 .
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