僕はその淵を視た。

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   当たり前にあった少女の羞恥はどこにいったんだろう。  俺が大事に大事に、ひとつひとつほどいてきた可憐な恥じらいは、どこに消えたんだろう。  愛してる。  愛してるよ。  どんなふうに時間を重ねても、君が俺を見つめる目がどんな色を帯びようと、ずっとずっと愛してる。  この想いが変わっていくことはあっても、色褪せることのないよう、俺は護っていけるよ。  だけど、陽香。  そんなの勝手だ、って怒るかな。  もう少し、幼い君を見ていたかった。  その変化はいつだって俺の腕の中で、今だってそうで……。  それを一秒たりとも見逃すことなく、俺は見ることができたと思ってる。  君が、蛹から蝶へと姿を変える、その瞬間を。  だけど、どう言ったらいいだろう。  2人で大事に暖めてきた甘い空間を、君に断ち切らせてしまった。  俺の中に芽吹いていた黒いものを君は一瞬で嗅ぎつけて、刈り取りに来てしまった。  これまで、自分でどうにかしてきたことなのに。自分で、けりをつけなければならないことだったのに。  この悔いを、俺は一体どうしよう。 .
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