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玄関ドアを内側から閉めた瞬間、俺は陽香の頭を抱え込むようにして口づけた。
それを待っていたとでも言うように、陽香の口唇が開く。
そこに舌を挿し込みながら、彼女の腰をぐっと抱いた。んん、と陽香がくぐもった声を漏らす。
その声に煽られるようにして、陽香の身体をドアに押し付けた。そのついでに鍵もかけてしまう。
陽香の手が俺の頭の後ろに回されて、もっととせがむように指先が襟足をくすぐる。
けれど、頭の芯はおそろしい程冴えていた。は……と息をつきながら、口唇を離す。
陽香の潤んだ瞳が、じっと俺を睨むように見つめる。
彼女の瞳もまた、欲情の熱を帯びているわけではなかった。
じゃあ、こうしていることに一体何の意味があるんだろう。
ふと考えを巡らせようとしたとき、陽香が俺の肩から手を滑らせ、制服のリボンのホックをパチンと外した。
黙ってそれを見ていると、陽香はリボンを足元に落とし、今度はブレザーを脱ぎ捨てる。
「陽香」
「……」
どこか怒ったような表情のまま、陽香はシャツのボタンに手をかけた。
俺はその手をぐっと掴んで、陽香の身体を引き寄せる。
「陽香」
「放して」
俺の腕の中で、陽香がもがく。それを制するようになおも彼女を抱き寄せた。
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