それを君に強いる僕。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  雨の中、ふらふらと夜道を歩いて帰ってくると、一番会いたくなかった人が俺の部屋の前に佇んでいた。 「……どうして」  掠れた声で、そう訊くのが精一杯だった。 「……会いたかったから」  まだ、熱っぽい恋を帯びた声だった。俺も馬鹿だ。  覚悟して、大事な恋を引きちぎってきたつもりでいて──その声だけで、手を伸ばしてあの細い身体を抱きすくめたくなってしまう。  何ひとつ終わってないことを、自覚させられる。 「陽香……頼むよ、帰って」  傘からぽたぽたと雫が落ちて、俺の足元に小さな水溜まりを作っていく。  陽香はそれを見ながら、ゆるゆるとかぶりを振った。 「あたし、何も言ってない。仁志くんに」 「それを聞いたからって、どうなるんだ? 終わりだろ、どう考えても……」 「やだ」 「……頼むよ。そういうこと、言わないで」  すっかり泣き腫らした陽香の目。  それを視界に入れるだけで、俺の心が罪悪感で腫れ上がる。  自分のせいなのだから、いくらでもその痛みを受け入れるけど。  今にもはち切れて、血を噴き出してしまいそうな心。それを制御できる自信が、今はないんだ。 .
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