流れ行く月日と共に

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 「悠里ちゃん。久しぶりだよね。この前は電話で機嫌が悪かったの? あ、ただいま」  孝彦はニコニコと笑っている。ちょっとズレているし、自分勝手なところがあるけれど、この笑顔が好きで、悠里が何か言えば、必ず肯定をしてくれるところも好きだ。  「ねぇ孝彦」  「何?」  「これから、大切な事を話し合いましょう?」  「いいよ」  真剣な表情を悠里がすると、孝彦も表情を改めて頷いた。悠里の部屋に招いて孝彦とローテーブルを挟んで向かい合う。  「私達、結婚をするつもりで式場探しをしていたわよね? ドレスもレンタルで考えていたし。今年の春だったわね。でも、夏前に私に相談をしないで、ボランティアに行ってしまった。そうだったよね?」  悠里が一つ一つを確認するように、ゆっくりとした口調で話し出す。  「そうだね。それは仕事の一環だと思ったし、別に悠里ちゃんに話す事だと思わなかったし、大したことじゃないと思うけど」  孝彦はあっさり、悠里と違う価値観を突き付けて来た。キュッと悠里は唇を軽く噛んだが、今まで見過ごしてきたのは他でもない悠里だった。
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