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「なんで? 別に一緒に暮らさなくても、子どもは育てるし、悠里ちゃんを俺は愛している。俺自身、悠里ちゃんとの子どもは欲しいし、小さな家に悠里ちゃんと子どもがいる、なんて良いじゃない。と思っているし」
孝彦は都合の良いように話をしていく。
「無理よ。私は一緒に暮らせない人と結婚なんて出来ないわ。例えば、単身赴任で1年とか帰って来ないのとは訳が違う。いつ来るか解らない相手を待つのも嫌だけど。それを子どもにもさせられないわ」
「でも世界ではそういう家族もあるし」
「世界がそうでも、私の考えは、家族となって一緒に暮らせること、よ。孝彦。良く考えて。孝彦の好きなように、気が向いた時に私と子どもと会って。生活費はどうする? 養育費はどうする? 愛はお金じゃない。言うのは簡単よ。でもね、生活はお金なの」
悠里は先を見る事が出来るようになった。それと同時にしっかり現実が見えてくる。
「つまり、俺か、悠里ちゃんが考え方を変えない限り、結婚をしないってこと? じゃあ、しなくて良いよ。別に結婚に拘らなくても良いだろう?」
孝彦は、自分の意見を通そうとした。しかし、悠里は静かに首を振った。
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