流れ行く月日と共に

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 「いつ……?」  掠れた声で問えば「昨日」と答えが返り、言葉が続かなかった。  「孝彦とね、話し合ったのよ。これからスタートする2人の生活について」  「……うん」  「価値観が合わなくて、きちんと生活が出来ないし、子育ても出来ない話し合いだった」  悠里は話しながらポロポロと涙を流す。ようやく孝彦との別れを認識した。ずっと突っ立ったままだった宏樹は、呪縛が解けたように足を動かして悠里に近寄った。  「そっか」  一言だけで、宏樹もそれ以上は何も言わない。ただ腕を伸ばして悠里の頭をワシワシと撫でた。  「……痛い」  力強く頭を撫でられる悠里は、文句を言ったが宏樹は止める事をせず、しばらく撫でていた。どっちが年上だか解らない。と悠里は思いながらもしばらくは、されるがままになっていた。  「両親は?」  頭上から降って来た声に、悠里は頷いた。もう話してある、と。  「こういうこともあるよな」  宏樹の労りの声が心に沁みた。その言葉と共に、ようやく手が頭から離れた。その後、宏樹が部屋を出て行って、悠里ははじめて、思い切り泣いた。
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