流れ行く月日と共に

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 「そうそう、そういえばね? その花屋で楽しそうなチラシを貰ったの」  母が何処からか持ち出して来たのは、通知のお知らせだった。  「フラワーアレンジメント教室……?」  フラワーアレンジメントは知っているが、教室なんて開けるとまでは、知らなかった。  「そう! 楽しそうよね! クリスマスに自分でアレンジをした花を飾ってみませんか? ですって」  一昔前の乙女並みに、おっとりとした口調で、しかしテンションは高くて、悠里は苦笑をしながら頷いた。しかし、まぁ確かにフラワーアレンジメントをやりましょう。という案は面白い。きっと希望者が沢山出る事だろう、と悠里は思った。  「とりあえず、今度の決起集会で母がやりたがっていました。と伝えておくわ」  悠里が言うと、母は「ダメよ、恥ずかしいから」などと照れていて、声を上げて笑うのは悠里にとって久しぶりの事だった。  「それはそうと、クリスマスイベントについて、だけど……」  悠里が父を見る。例年だと20組限定で紅茶とケーキのセットを振る舞う事になっているが、今年もそれで良いのか確認をした。
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