流れ行く月日と共に

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 その夜の決起集会は、信悟が主役みたいなものだった。挨拶を兼ねた豊富が、クリスマスリースを作ったり、クリスマス限定フラワーアレンジメント教室を開く事をクリスマスイベントにしたい、と言う事だった。  悠里の父達が立ち上げた商店街のクリスマスイベントは、火を消したように活気の無くなった商店街を盛り上げようというコンセプトが根底にある。  仕入れ値に僅か上乗せするくらいの売り値で、ほとんど売り上げなど無視する覚悟のイベントだ。そのおかげでクリスマスの時期は活気が満ち溢れ、商店街の良さを再認識した客達が、クリスマス以外でも足を運んでくれるようになった。  それでも最初の2・3年はイベントを開催しても集客力は伸びず、5年を目処にしてそこまでに集客力が伸びなければ、このイベントを止めようという話もしていた。  その矢先、タウン情報誌の取材が入り、クリスマスイベントの事が紹介されたのをきっかけに、徐々にイベントに足を運ぶ客が増え、イベントに来た客からの口コミが広まって目処にしていた5年目には、目標には届かなかったものの効果が有った事を目の当たりにして、翌年も続けた。  それから、集客率がうなぎ登りとなって、現在も続いている。
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