流れ行く月日と共に

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 「宏樹は、私の事を女として思えるの?」  萌恵は宏樹の気持ちを再確認するように尋ねた。  「外見も魅力的だし、知識も教養もあるし、話していて楽しい。女性という意識は有った。だからこそ、10年続いたと思う」  萌恵の不安を少しでも和らげられるように、何度でも真剣に話す。  「それじゃあ宜しくお願いします」  「こちらこそ」  こういう始まり方は、2人らしくて良いかもしれない、と宏樹は思った。  その夜、萌恵と宏樹は互いの事を知ろうと、バーで夜明けまで語り明かした。お互いの家族や生活環境など話す内容は尽きなくて、萌恵も宏樹を男として意識して、向き合い始めた。  「朝になってしまったわね」  「うん。萌恵さん、家が厳しいなら大丈夫? 今さらだけど」  「大丈夫。きちんと10年目であることを話してきたし、今夜は帰らないかもしれない。とも言ってきたから」  「それは随分大胆な発言だね」  萌恵が真面目くさった表情で話すから、宏樹は苦笑をしてから驚いた表情に変わって笑った。  「そうかも、ね。でももう良い年だし、親にいちいち了解を得なくちゃ、なんて恥ずかしいもの」  カラリと笑った萌恵を見て、宏樹はそうか、と笑い返した。
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