流れ行く月日と共に

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 三連休の二日目は、宏樹と萌恵が男と女として付き合う事になった記念日となった。このあと直ぐに迎えるクリスマスは、付き合い出した2人にとって最初の大きなイベントだった。  宏樹は萌恵からオメガの腕時計をプレゼントされ、こんなに高価な物を……と呟くも、おっかなびっくり身に着けた。  対して、宏樹から萌恵へのプレゼントは、萌恵が欲しがったピンクサファイアのペンダントだった。宏樹からのプレゼントの方が値段としては安いが、萌恵は全く気にしなかった。  そんな甘いクリスマスを過ごす恋人同士がいれば、甘くないクリスマスを過ごす独身者がいるわけで。宏樹が萌恵とクリスマスを過ごす頃、悠里はやっと途切れた客足を見て、解放されたため息を吐き出していた。  花言葉が打ち出したクリスマスイベントは好評だった。好評ゆえに、混雑をしていて、悠里と両親の3人は冬だというのに汗をかく程忙しかった。  「今年も盛況で良かったよね」  悠里は両親の顔を交互に見て微笑んだ。両親も安堵をしたような微笑みを返す。生活に直結する事もそうだが、ようやく悠里の笑顔が心からの笑顔になったからだった。
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