流れ行く月日と共に

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 「今夜はクリスマスだし、宏樹は来ないにしても家族でケーキを食べるとしようか」  母親の提案に悠里は頷く。父親が続けた。  「少し早いが、どうせクリスマスは夜にお客様が来る事も無い。うちは軽食を扱っていてもディナーなどやらないからな。閉めてしまおう」  「まだ7時よ? いいの?」  悠里はそう言うが、確かに普段は仕事帰りのサラリーマンやOLが寄り道をしていく花言葉も、クリスマスには全く入らないのが例年だ、と思って店仕舞いの支度を始めた。  床掃除をして、戸締まりを行うと、カウンター席から見えない位置に置いてある手荒れ防止のハンドクリームをつけながら、悠里は客席に目を移した。  「なぁに? 悠里どうしたの?」  母親の問いかけに悠里は苦笑をしながら答えた。  「子どもの頃を思い出したのよ。学校から帰って来て、カウンター席の隅に座ってお茶とお菓子を口にしてから、宿題をやっていた事」  「そんなこともあったわねぇ」  懐かしそうに目を細めながらカウンター席へ目を向ける。  「そうか。それならどうだ。今年のクリスマスは、客席でやるのは。どうせツリーを明日の朝には片付けなくてはならないし、だったらツリーを見ながら、ケーキを食べても良いだろう」  父親がにっこり笑った。
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