流れ行く月日と共に

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 年末年始は12月28日~1月4日迄の8日間を休みとして、悠里と宏樹は両親に温泉旅行をプレゼントした。宏樹が働き始めてから毎年、2人は両親に旅行をプレゼントしている。  行き先は日本全国様々で、年末年始の長期休暇の何処か。2泊~4泊くらいの旅行だが、感謝と骨休めを兼ねている。今回は年明け2日~4日迄の3日間の温泉旅行。  両親は楽しそうに出かけて行き、両親がいない間に、宏樹は彼女が出来たと悠里に報告を済ませると、年始の挨拶に寄っただけで帰って行った。悠里は……と言えば、初詣に行く以外予定が無かった為、家でのんびりとしていた。  孝彦との付き合いに疑問を感じなければ、今頃は孝彦のアレコレと世話を焼く正月だったに違いない。思い返せば、楽しい思い出ばかりが浮かぶ。寂しさを感じる夜も有った。  けれど、何度考えても気付いてしまった以上は……孝彦との付き合いが続くわけが無い。それでも思い出した痛みを少しでも軽くするために、悠里は走るようになった。信悟が言ったように、走る事は何も考えなくて済む事を理解したから。  その日も、ランニングウェアに着替えると悠里は走った。
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