流れ行く月日と共に

83/86
前へ
/625ページ
次へ
 悠里はバレンタインデー企画のチョコレートスイーツを作った。しかし、お客はほとんど来ないから、朝から頑張って作ったスイーツの1/3も出なかった。両親と3人で食べるには多過ぎてどうしようか悩んでいた時に、康則が再従兄弟であり花屋の店長の信悟と共に来店した。  「やっくん。久しぶりね。こんな雪の日にどうしたの? 仕事は?」  悠里がコーヒーとチョコレートスイーツを2人に出しながら康則に問いかける。  「今日は仕事休みです。有給休暇がちょっとあってそれを消化するために。本当は家族孝行をしようと思ったんですけど、この雪で出かけられなくて。それで信悟さんの花屋はどうしているかなぁって顔を出したんです」  康則ののんびりとした口調に成る程と頷いてから、悠里は箱を探した。お土産用の箱を出して、その中にチョコレートスイーツを入れて、康則に渡した。  「せっかくの休みに家族孝行も出来なくなって残念ね。これ、ご家族に持って帰って。お土産」  悠里はにっこり笑う。  「えっ? 良いんですか!? 嫁さんが喜びます! 甘い物が好きなんですよ!」  悠里の腕前を知っている康則は良い土産だ、と喜んだ。
/625ページ

最初のコメントを投稿しよう!

267人が本棚に入れています
本棚に追加