流れ行く月日と共に

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 「そういう意味で考えたら確かに媚薬みたいですよね」  悠里は頷いて納得をした。そんなふうに考えた事が無かった、と呟きながら。  「ごちそうさまです」  康則が絶妙のタイミングで言うので、悠里も信悟も笑いあった。  「いや、信悟さんの店が気になった半分。悠里さんのコーヒーも飲みたかった。っていうのが目的の半分。どっちも達成出来て俺は良い休日でした」  康則が満足そうに言ったところで、2人は店を出た。悠里も2人を見送るために外へ出る。OPENの札をCLOSEに変えて。  外は雪が積もっていて、寒さが増した。手袋を嵌めていない手を空へかざすように伸ばせば、その冷たさが良く解る。それとは逆に掌に乗った雪は直ぐに溶けて、チョコレートが恋の媚薬ならば雪は失恋の象徴に悠里は思えた。  連れ立って歩いて行く2人の後ろ姿が見えなくなるまで見送ると、悠里は、寒さから来る身震いをしてくしゃみが出た。中へ入ろうとして、ふと積もった雪に触ってみる。  粉雪らしく、サラサラとした触り心地だった。雨が降れば溶けやすくなるのかもしれないが、今のところそんな天気にはならなそうで、悠里は空を見上げてから中に入った。
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