―紅色―

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土「そんな事よりもお前、そんな 格好で戦うつもりか?」 普通の娘が着るような、藤の着物 動けんのか、と言えば女がああ… と、呟いて自分の服装を見た。 椿「…じゃあ、着替えます」 土「はあ!?」 止める間もなく、自分の着物に手 をかけた女に、思わず目を逸らす 隣に座る奴が生着替えと、呟いた ので取り敢えず殴っておいた。 土「お、おいクソアマ…す、少しは 恥じらいを持ちやがれ!!!」 椿「えっ、何を持てって?」 おおー…と、歓声があがったので 恐る恐る目を向けると 黒装束を華奢な身に纏った女が。 そして女は、下ろしていた髪を紐 で高く結いながら言った。 椿「あー私、常に下に着てるんで 大丈夫です…と。どんな方法でも 良いんですよね?」 俺は呆気にとられながら頷いた。 髪と装束の黒と、抜ける様な白の 肌に爛々と輝く目が映える。 準備を促す永倉の声に、女は返事 をして離れていった。 固唾を飲む空気の中、女と斎藤が 中心にて竹刀を構える。 雰囲気が先程と、打って変わるな ピリリとした緊張が、こちらまで 伝わってくる。 腕を組み直して、ふたりを見守る さあ、如何なものか…見せてくれ 初めの合図と共に、竹刀が激しく ぶつかり合った。 流石は斎藤一と言った所か、剣筋 は流麗であり鋭く速い。 …だが、それに追い付いている女 も凄いな、心なしか斎藤も驚いて いるように見える。
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