―紅色―

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斎「見ない剣筋、…どこの流派だ」 鍔の競り合いで、お互いの距離が 近くなった時、斎藤が尋ねた… 椿「んー…たぶん言っても分から ないと思うけ、どッ!!!」 交わすように流してきたが、斎藤 の重い一撃をもろに受ける。 その時、女の竹刀が悲鳴をあげた 竹刀に罅が入ったようだ。…だが 斎藤は容赦なく攻撃してくる。 その度、罅が深くなり破片が散る 流石に女も焦ったようだ。 椿「(ど、どうしよう壊しちゃった これって弁償かな…)」 隣の永倉も、試合を中断するよう 言ってくるが、頑なに拒んだ。 もし戦いで、刀の刃が折れたから といって、敵が待ってくれるわけ でもないだろう。 アイツがどう対処し、巻き返すか が俺は見たいんだ。 苦笑いしながら刀を受け止める 女の横顔を見て言った。 振り下ろされた攻撃を防ごうと すればやはり女と男だ。力の差は 歴然だった。全体重をかける斎藤 竹刀は、耐えきれなかったようで 嫌な音をたてて真っ二つに割れ、 竹の破片が散らばった。 周りで見ていた者は、座り込んだ 女に、竹刀を高く振り上げた斎藤 を見て終わりだと思った。 「き、決まったのか…?」 土「いいや、まだだ」 …女が姿勢を低くした時、破片を 拾った事を見逃さなかった。 そのまま足払いをした女に、斎藤 は後方に飛び、避けた…が!!! 体勢が崩れた斎藤に、一気に首元 へ斬りかかる、その紅目は獲物を 狙っていた猛獣のようだった。
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