―空華―

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――ここは鉛弾が飛び交う戦場。 相手の喉元を掻き切り、斬りかか ってくる敵にクナイを撃ち込む。 土嚢に身を隠しながら、次の暗器 装備していた時、喜助はふと思う この血の様に赤い月の夜だった。 真っ黒に染まり、闇に沈んだ俺を 救い上げて下さったのは、同じく 黒に染まった椿さんだった。 それから隣に立って、見る景色は どれも鮮やかに色づいて見えた。 人と関わりを持つようになった、 守るべき者も増え、仲間ができた 自分の居場所ができた。 貴女に与えて貰ってるばかりで、 烝さんのように愛する事も、土方 副長のように悩みを聞くことも、 原田さん達のように貴女を笑顔 にさせる事も俺にはできません。 何もお返しを出来ぬまま、手の届 かぬ所に突然いってしまわれた。 弾が腕を掠める。身体が鉛の様に 重い、苦しい…動きを止める事は きっと死を意味する。 もう楽になりたかった。…だけど 死ぬわけにはいかない。 俺には夢がある、椿さんの子供達 と話をしたい。そして母親と父親 の話を沢山してあげたい。 それを気力として、何とか戦場を 切り抜け、山へと身を隠す。 来る途中で足をやられた。ここも 血を辿って直に見つかるだろう。 後ろの木に背を預ければ、ひとつ 紅い花が落ちた。 草を掻き分け踏む音がする。静に 目を閉じた。脳裏には笑顔の貴女 自害はしない、椿さんが生かして 下さったこの命。無駄にはしない 「いたぞーーッ、覚悟しろ黒夜叉」 ――せめて最期まで抗ってやる。 主、貴女は俺の全てです―――… 貴女の笑う顔が好きでした。貴女 の闇に呑み込まれず、凛と戦う姿 に憧れていました。 どうかあの世でまた、貴女の愚痴 を隣で聞かせて下さい。 嗚呼、これだけは喜助の特権です 空が白い涙を溢す、最期に霞む目 で見たのは貴女の笑顔でした。        ―空華― 終わり ※纏まりがなくグダグダでした。 ほんますんませんでした。
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