―紅色―

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障子を横目に歩きながら言う…。 土「局長の部屋に入る前にひとつ 言っておくが、もし妙な事したら ただじゃおかねーからな」 椿「…では、この屋根裏から感じ る殺気は貴方の意向なのですね、 分かりました、ただお話を聞いて 頂きたいだけです。」 それに、とその女は年相応の表情 をして目を伏せた。 椿「ここには大切な人がいるので その人の迷惑になるような事は、 絶対にしません。」 その真剣な瞳を見て、俺は屋根裏 に潜ませた者に武器を解くよう 命令を出すことにした。 椿「有難うございます、土方さん」 この女、殺気にも怖じ気づかねぇ 少し歩いた所で、透かしの入った 障子の前で足を止めた。…そして 部屋の中にいるであろう上司に 声をかける。 土「近藤さん、俺だ。少しいいか」 「おう、トシか」 了承を貰い障子を開ければ、見知 った広い背中が出迎えた。 土「おら、あれが俺らの大将だ」 笑みを浮かべながら、振り返った 我らが大将、近藤勇を見て…女は 目を見開いて固まっていた。 な、何なんだコイツ…何に驚いて やがるんだ!?…わ、分からねーッ 近「おや、どうしたんだいその子。 もしやトシの彼女さんかい?」 土「な゙…ちげーよ!!…コイツは」
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